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Kill The Poor (Single Remix)

2008-07-05 20:21

EGLI TARGET TypeJあいかわらずエグリです。
日本で販売するために製作されたエグリのライトウェイト「EGLI TARGET Type-J」です。
‘82年にケルンで発表されたプロトタイプモデルをベースに企画されたバイクです。
プロトタイプにはSR500のエンジンが使用されていましたが、Type-JではXL600Rのものになっています。エンジンの変更をメインに、日本の市場に合わせるため32カ所の改修が施されたそうです。

EGLI TARGET TypeJ
フレームは、極太メインパイプから小径パイプが直線的に組まれています、まさにエグリ。
メインパイプはオイルタンクも兼ねています。
ニッケルメッキで処理されたフレームは綺麗です。黒に黄色シートの車体色に、よく似合ってます。シンプルなこの車体だとクロームメッキでは安っぽくなっちゃいそうですね。
写真で見ても、とても美しい。「別冊MOTOR CYCLIST 1984年4月号」です。

フロントフォークは、ボトムケースにパイプ2本をくわえさせたエグリ独特のヤツです。
このパイプはフェンダステーも兼ねていますが、いわゆるスタビライザーです。
目立たない部分ですが、パイプは強度を落とさないために曲げずに使うのが好ましい、というエグリの思想を象徴しているような気がします。

別冊MOTOR CYCLIST誌でのインプレッション総論として
・キック始動には慣れを要する、非力人間には不向き
・まめなギアチェンジが要求される、運転に神経が必要
・それらを除けば、驚異的な燃費と走りが期待できる
「つまり並み人間の下駄バイクとは成り得ないのである。」

EGLI TARGET TypeJ
「Type-Jの開発コンセプトは、ビッグシングルのポテンシャルを最大に引き出すことにある、としており、目標のひとつは200km/hであるという。」
「Type-Jは特殊な外車となるので、好き者の圧倒的な支持を得ることは間違いないが、この種のものが、つまり性能追求型のビッグシングルが、日本のメーカーから登場するためには、始動にもうひと工夫、できればセルモーターが欲しいし、より低いノンスナッチを許容する仕掛けも欲しくなってくる。」

ビッグシングルはおれ、キックのSRX-6に乗ってたことがあります。モダンなスタイリングに高性能なシングルエンジン。フロントカウルこそ無かったけど、コンセプト的には似てますかType-Jに。プアマンズType-J、と呼んでいいですか。
SRXも、確かにキック始動がめんどくさかったです (おれのはオートデコンプのワイヤが切れてて、それに気付かずずっと踏んでたんだけど…)。

SRXが発売されたのが’85年、セルが付いたのが’90年か。スタイルも車体サイズもエンジンも良いバイクでした。
セルも付いて (セルのSRX-6には友人2人が乗っていました)、もうこれは最高のバイクじゃないのか、と思ってたら無くなっちゃいましたね…。

元々ヤマハSRのエンジンだったのを変更したType-J。
ヤマハSR派生機種であるSRXがType-Jと似たコンセプトで後に出て、完成度を高めていったのは面白いといえば面白い。
まあ、スペシャルなバイクの場合、未完成な部分にも魅力があったりしますけれども。

スペシャルバイクには大排気量のモンスターを期待してしまいますが (とくにエグリ・ターゲットの場合CBXのMAGNAMなんてあるし)、こんなライトウェイトが実際には乗って楽しめそうです。

Drive Like Lightning (Crash Like Thunder)

2008-06-19 08:35

RED LIGHTNING以前紹介したEGLI RED LIGHTNINGですが、あれは写真がイマイチでしたね。
実車はカッコイイかも、とは書きましたが、いや、写真でも綺麗なのがありました。
「RIDERS CLUB 1984年8月号」です。

ムートはBMW時代の同僚と立ち上げたターゲットデザインを80年に去ったわけです。
その後のターゲットのバイクはムートと共通の方向性は感じますが、よりシャープなスタイリングに向かい、
ムートはよりエレガントなものを目指したように思います。

RED LIGHTNING
上からも綺麗。実際ライダーは上からバイクを見下ろす事が多いので、上から見たプロポーションは重要です。
テールの形状がカッコイイです、面構成がわかりやすい写真です。
横から見ると車体色がソリッド赤ということもあってベッタリ見えてしまってましたが、上面中央が山になった形状なんですね、テールカウル下端はムート得意のエアスタビライザー形状です、正面から見るとハの字になっている。上面までいくつかの面を組み合わせているようです、広い面積はもたないですよね、こういうことしなきゃ。

RED LIGHTNING
カウルだけの写真です。
最近のメーカースタイリングは「見慣れてくると良い」みたいな、初めて見た時には違和感を感じる事がありますが (メーカーは先を見たスタイリングを提案しているのだから仕方が無いのでしょうが)、ムートのスタイリングは派手ながら初めて見ても「綺麗」と感じる安心感があります。面や線に無理が無く、気持ち良くつながってるんでしょう。

一連のエグリ-ムートは、元々あったEGLIの車体に後からムートのスタイリングを与えた、というアフターパーツメーカー的な作り方です。
そのため、制約も多かったんじゃないかな、天下のフレームビルダーにスタイリングのために構造の変更は要求できないだろうし。
ただエグリはシンプルなフレーム構成ですから、外装の自由度はわりと高そうです。

うーむ。カッコイイ! 雷に打たれたような衝撃を感じました。

RED LIGHTNING
「RIDERS CLUB 1984年11月号」ではムートのインタビューが掲載されています。

RED LIGHTNINGのスタイリングについて。
「このEGLIのボディのデザインの趣旨は、エンジンヘッドをチラリと見せている。女性でいうのなら前をピッタリさせてても背中をオープンにしているドレスとか…」
なるほど、カウルの赤い部分でループさせているのはエンブレムでは無くエンジンヘッドでした。
無骨なエンジンをセクシーに見せる意図だったようです。

「新しいデザイン、新しいラインとか、GPレプリカとか、ともかくやりすぎだ。これが究極にゆけば、スーパーGPレプリカを創るのか、日本で流行っているオモチャの合体物のようになるのか、このままではそのふたつしかない。」
ムートがこう語ってから20年以上過ぎたわけですが。考えさせられちゃいますね。

ちなみにRED LIGHTNING、エンジンはまったくのノーマルCB1100F (100PS)でエアクリーナーとマフラーを変更しているくらいだそうです。

Fried My Little Brains

2008-06-11 23:28

EGLI TARGET MAGNAM CBXまたしてもエグリです。
これはけっこう有名な「EGLI TARGET MAGNAM CBX」。
「RIDERS CLUB 1983年10月号」から。

今日、あるバイクのフロントフェンダにダクトを造形し、おれのブレーン (中学からの付き合いである) に見せたのですが、「このダクトは何のためなのか聞いてはいけないんだよな」と。
特に意味のないダクトが気になったようです。

デザインの全てに意味や理由を見出そうとするやっかいな世代だよなぁ。ま、おれも常々そういう考え方なのですが、ダクトについては無条件にカッコイイじゃん!
何のためか、と聞かれたら「男心をくすぐるため」じゃダメですか? ダメなようです。

協議の結果「では、これは空気ではなく気合いを導くという事にしよう。あと幸運とか」で決着。
あいかわらず見事なブレーンっぷりです。

EGLI TARGET MAGNAM CBX
さて、MAGNAM、正面から見るとちょっとマトリョーシカっぽくてアレですが、うーむ。スクリーン下のダクトにグッときます。これも、あまり意味無さそうだよなぁ。

リヤタイヤをループしている帯状のパーツは、リヤフェンダの法基準をクリアするためらしいです。さらにマフラーの熱からタイヤを守る効果もあるらしい、これは後付けの理由っぽいな(笑)。

EGLI TARGET MAGNAM CBX
MAGNAMで目を引くのは、やはりシートです。
激しい加減速でもしっかりホールドする、とか。
当時の雑誌、何誌かで試乗記事があります。こちらは「別冊MOTOR CYCLIST 1983年10月号」。
このシートについては機能的には可も無く不可も無く、て感じです。しかし見た目は斬新でした。10代の頃の、おれの心に火を点けるには充分なくらい。

授業中、ノートに落書きしていたオリジナルおれバイクの多くに、このシートは採用されていました。

Red Lightning Blues

2008-06-09 23:26

RED LIGHTNINGこの赤いのは「RED LIGHTNING」と名付けられたエグリ。
GRAY FLASHの発展型、らしいです。GRAY FLASHが’81年、RED LIGHTNINGが’83年。
掲載されているのは1984年の「Car Styling 46」。ハンス・ムートの特集で、インタビューも掲載されています。

いや、今、見ると野暮ったいですね (笑)。しかしフロントからテールまでつながるカウリング、ダクトが切ってあったり (キャブ周りに導入してるみたいですね)、少年だったおれの心をガッチリ掴むには充分過ぎるスタイリングでした。

ムートがデザインするバイクの魅力は、やはりスラントされたフロント周りだと思うのですが。
現在のように異形ライトなんて無かった当時、フロントカウルをスラントさせようとしても、レンズ部分で垂直な面ができてポッテリしちゃいますね。
これ、もうちょっとライト位置下げたかっただろうなぁ。
でもタンクを上下にボリューム持たせて、かつフロントカウルスクリーン部の後端をタンク側にちょっと曲げて、ボディとの一体感を狙ってるのかな。赤く塗装していないタンク側面 (アルミ地肌らしい)、エグリのエンブレムを中心に、赤い部分がぐるっとループするように。

きっとこれ、実車を見たらいろんな表情があるバイクな気がする。バイクの隣に立った目線から見ると、すげぇカッコイイかも。

GRAY FLASH
隣のページには、おれが愛するGRAY FLASHも。

フロントカウル、これでもか、というくらいウェッジシェイプです。BMWのR65LSから練り込んでいった形状なのかな。レンズ部分の垂直面が気にならない、フロントを低く見せるカッコイイ処理です。カタナも影響受けてますよね。

よく見るとスクリーン部後端がちょっとだけ立ち上がってます。ガーニーフラップ? カウルの強度を高めるためのリブかなぁ?
おれ、これをツマミにビール大ジョッキ5杯はいけます。

しかし実用的、機能的だったのはRED LIGHTNINGの方でしょうね。

21st Century Boy

2008-06-06 14:45

エグリバイクの仕事をやると決めたのは「一生働かなきゃいけないなら他の仕事は無理、怠け者のおれにはきっと続けられない」という理由なのですが。

しかし仕事にしたらしたで、ツラくなる事もあります。一時期バイク雑誌なんて見るのも嫌で。今は大丈夫なんですが、でもバイク雑誌は10年以上寝かしておいて昔のを見るのが面白い。ニューモデルにはあまり興味が無いですし。

個人的に、特に面白いのは80年代前半です。おれ自身バイクに興味を持ち始めた頃だし、バイクブームのど真ん中、業界全体がイケイケな感じだったように思います。
カウルが認可される前の、国産バイクが地味だった頃はスタイリングカスタムを本気でやるショップも多くあったし、海外のスペシャルバイクはまさに憧れの夢のバイクでした。
とりわけ衝撃だったのが、ターゲットデザインらがスタイリングを担当したエグリでした。

この雑誌は1994年3月発行の「BIG BIKE Cruisin’」。古い雑誌ではないけれど、70年代中期から80年代初期の4気筒カフェレーサーが特集されている、なんて素敵。
中でもドキドキできるのがハンス・ムートがデザインしたという「EGLI GRAY FLASH」。

エグリ
この手のバイクは「現在でも通用するデザイン」なんて評されるけど、いや、今見ると古さは感じますねやはり。メーカーの現行スーパースポーツ車のスタイリングの方が、カドはピンピン立ってるし面は複雑だし凄い事になってる。

でもおれはレトロフューチャーな感じというか、どこか優しい柔らかい感じの、この時代のスタイリングカスタムバイクやスペシャルバイクが大好きなのです。触って撫でて確認したくなる曲面なんて、ライダーがバイクというものに特別な感情を持っていた頃だったからこそ、とも思える。みんな単なる乗り物としてではなく、愛情を持ってバイクというものに接していた気がします。
しかし街を見るといまだにネイキッドというスタンダードなバイクが主流だし、スタイリングカスタムは、これくらいがちょうどいいのかもしれませんね。

21世紀にはこういうバイクが道路ではなくチューブの中をバンバン走ってて、と想像してた10代の頃でした。SIGUE SIGUE SPUTNIK (おれの中では名バンドです) も、そういう21世紀を想像してたんでしょうね。
SIGUE SIGUE SPUTNIKのファーストアルバムはおれ、LP盤で買ったんですがそれが86年か。国内ではカウル装着も認可されスズキガンマはすでに3代目、ホンダはNSR250Rが出た年。その後バイクはどんどん高性能化、レーサーレプリカがブームになったけど、スタイリングカスタムは低迷していったんですよね。